2つの地図
人生の地図の描き方には2つある。
1つは、自分が見聞きした情報をもとに頭の中だけで描く地図。これは、自分の憧れや理想をもとにして描くもの。
2つめは、自分が実際に体験して得た感情の積み重ねとして描かれる地図。自分の実体験の中で「あれは嫌だ」とか「これは好き」という取捨選択の結果として見えてくる地図。
どちらの地図も人生にとって、とっても大事。
20代前半のころは、2つめを置き去りにして、1つめの地図ばかりを見ていたような気がする。そこにたどり着いた時にどんな感情を抱くのかなんて知りもせずに、とにかく憧れだけを頼りに歩き続けた。本当のところ、それが自分に合うのか合わないのかも分からないのに、憧れや理想にとりつかれてしまっていたから、自分の好き嫌いさえ忘れてしまっていた。
年を重ねてくると、2つめの地図が出来上がってきたように思う。俺は「こういう感じが好き」とか「こういう方が上手くいく」とかが少しずつ分かってきて。
問題は、1つめと2つめの地図を統合するときだ。昔は1つめの地図しかなかったから何も考えずに行動することができた。そして痛い目にあった。痛い目にあったからこそ2つ目の地図を手に入れることができた。でも、それによって、1つ目の地図を省みることは少なくなった。同時に、それは1つ目の地図を歩むことの難しさを知ったからなのかもしれない。
でも、俺は何とかしてこの地図を統合したいと思っている。現実を知り、理想を追いかける歩む難しさを知ったからこそ、昔のような失敗は無くなる。
理想と現実は2項対立ではないということを昔誰かから聞いた覚えがあるが、今は少しだけその意味が分かる気がする。